東電に原発再稼働の資格ある? 規制委の審査大詰め via 朝日新聞

東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の再稼働に向けた審査が大詰めを迎えている。原子力規制委員会は技術的にはクリアしていると判断したものの、それに加えて、福島第一原発事故を起こした東電が再び原発を運転することの「適格性」を問うという異例の展開になっている。規制委は13日以降の定例会で適格性を判断していくが、課題が残ったまま新規制基準への適合を認めれば、拙速な判断との批判も浴びかねない。(東山正宜

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■技術力の高さ、異論なし
原発の再稼働に向けた規制委の審査は、地震や津波対策の審査と、設備設計の審査の二本立てで進む。
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ログイン前の続き現行の新基準では、フィルター付きベントは第一の選択肢として位置づけられている。2013年に新基準ができた当時、格納容器の破裂を防ぐ唯一で最終の手段と考えられ、わざわざ義務づけが明記された経緯がある。

規制委は東電の新冷却システムを評価しつつ、現行の新基準との整合性をどう取るかについては議論の余地が残る。ある規制委幹部は「審査の過程で新しい知見が得られたら、より安全な方に新基準を見直していくのは当然だ」と語った。今後の定例会で新基準の見直しも含めて議論される。

■安全への姿勢、慎重に判断

ただし、規制委は技術面を満たしただけでは新基準に適合したとは判断しない方針だ。

東電をめぐっては2002年に原発のトラブル隠しが発覚。この時も「安全を最優先に取り組む」と当時の社長が宣言し、止まっていた柏崎刈羽の再稼働に道筋をつけた。だが、津波のリスクを軽視し、対策をとっていなかった結果、福島第一原発事故が起きた。

福島第一原発事故を反省して発足した規制委にとっても、「東電が変わった」ことを確認しないまま適合を認めれば、存在意義を問われかねない。

規制委は7月、東電の新経営陣を呼び、「福島第一原発廃炉に主体的に取り組む覚悟と実績を示せない事業者に原発を運転する資格はない」とする7項目の考え方を示し、文書回答を要求。特に廃炉計画をめぐって東電が経済産業省などの方針を優先する姿勢を「主体性が見えない」と批判した。7月末には田中俊一委員長が自ら柏崎刈羽原発を訪れ、所長ら現場職員の意識を聞いて回った。

東電は8月、「地元の方々と向き合い、主体的に廃炉をやり遂げる覚悟。安全性をおろそかにして経済性を優先することは決してない」などと回答。小早川智明社長は田中委員長から促され、この文書が「国民への約束」だと表明した。

だが、6日の定例会では、伴信彦委員が「決意表明だけで適格性を判断するのは不安。将来にわたって実効性を持たせる仕掛けが必要だ」と語った。規制委として、東電の適格性を慎重に確認していく方針をあらためて確認した。

13日の定例会では、東電の安全姿勢を「口約束」で終わらせない規制上の仕組みや、東電の主体性について経産省の意見を得る方法などを議論する方針。さらにその後の定例会で、技術的な審査書案も含めて引き続き議論する予定だ。

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◇規制委は、福島第1原発事故を起こした東電の原発事業者としての適格性に一貫して厳しい姿勢だったが、審査の最終盤で一転して容認。ごく短い議論で適格性を認めたことに批判が相次ぎ、かわす狙いがあるとみられる。(via 北海道新聞

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