福島・南相馬市 不在伴うごみ処分に難渋、避難指示解除から1年 via 日本経済新聞

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5日朝。南相馬市小高区役所近くの「南相馬市ボランティア活動センター」から軽トラック4台が市のごみ処分場に向かった。荷台には伐採された竹が満載されていた。

 県外に避難している小高区の住民が一時帰宅した際、放射線の影響を懸念し自宅裏にあった約4千本の竹を4年かけて薬で枯らし今年2月、同センターに片付けを依頼したものだ。5月上旬から延べ200人のボランティアが計13日かけて伐採や裁断、処分場への搬出を担い、この日でようやく作業は終了した。

 同センターは住民の依頼を受け、屋敷林と呼ばれる庭先の防風林や竹などを伐採。環境省の委託業者が回収しに来る各家庭の軒先まで運んでいたが、3月以降は処分場などへの搬出も請け負わざるを得なくなった。

 理由は行政の対応の変化だ。環境省は5年余に及んだ避難期間中に各家庭で発生したごみを「片付けごみ」と分類。昨年7月、処分の申し込みの受け付けを打ち切った。今年3月には申し込み分の引き取りと焼却処理も終えた。環境省は「2013年から回収し、広報も十分してきた。事故以前の状態に戻ったということ」と説明する。

 小高区の大部分と原町区の一部が対象だった旧居住制限、避難指示解除準備区域には6月末時点で2359人が居住。住民登録者数の約24%で帰還は低調だ。JR小高駅前でラーメン店を営む女性(68)は「戻ったのは高齢者ばかり。日中はほとんど人影がない」と話す。

 復興庁などの調査によると、帰還を希望する市民は5割。「判断できない」と回答した人にその理由を複数回答で尋ねると「原発の安全性」(53%)、「放射線量の低下・除染効果への不安」(40%)が目立つ。

 南相馬市ボランティア活動センターには昨年度まで県から補助金が出ていたが、今年度は対象から外れた。住民から依頼され未着手のごみ処分は70件以上あるという松本光雄センター長は「依頼は今後も続く。行政が(事故を)風化させてしまったら復興はない」と話し、帰還を進めるためにも行政の支援再開を求めている。

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