温暖化の脅威迫る島 マーシャル諸島の活動家(詩人) キャシー・ジェトニル・キジナー氏 via 毎日新聞

未来の変革者を世界に

 日本の南東約4000キロの太平洋に浮かぶマーシャル諸島=1=はかつて米国による核実験の舞台になった。そして今、地球温暖化現象の一つである海面上昇の危機に直面している。島の平均海抜は2メートル。「キングタイド」と呼ばれる巨大な高潮が襲うたび、国土を失いかねない脅威にさらされる。「島を見捨てない」と、マーシャルを拠点に世界を股にかける活動家のキャシー・ジェトニル・キジナーさん(29)。6月に初来日した際、温暖化対策や反核への思いを聞いた。【聞き手・森忠彦】

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--マーシャル諸島のビキニ環礁では1954年、米国による水爆実験(ブラボー実験)があり、日本の第五福竜丸も死の灰を受けました。日本と同様、「被爆国」なんですね。

 実験があった54年3月1日にちなみ毎年3月1日は「核被害者追悼の日」です。母の呼びかけもあり、今年からは被害者も参加して大きな会議を開きました。母方の祖父母は米国の核実験による被ばくでがんになり、病院で治療を受ける機会もないまま亡くなりました。広島や長崎と同様、核兵器による多くの犠牲者がいるのです。でも、これまでは米国に経済を依存してきたこともあり、あまり大きな反対運動にはなってきませんでした。ようやく今年から、「反核兵器」が大きな社会運動になろうとしています。

 冷戦中には米国の核実験によって、そして今は地球温暖化による気候変動によって、マーシャルは人類の犠牲になってきました。つまり、歴史的に2回も人類から「廃棄された」存在なのです。大国のエゴのために廃棄される、小さな島国。私たちの役割は、起きてはいけないことを未来に伝えるメッセンジャーなのかもしれません。

--今回、広島も訪問しました。改めて感じたことは?

 痛ましく悲しい事実と被爆者や支援する若者たちの活動に感情を揺さぶられました。記憶や体験を伝えることがいかに大切か。人の心に一番訴えかけられるのは「人間」のストーリーなんだと。もっと日本政府は、日本人は、核の恐怖を世界へ訴えてほしい。

 これまでマーシャルの人間は控えめでした。何かものを言うということに慣れていなかった。弱小国なので見向きもされないと思っていました。でも、最近の若者は違ってきています。反核や気候変動への危機感からソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通して世界に向けて国のことや自分たちの訴えを発信するようになってきました。そういう若者を社会のリーダーに育てる非政府組織(NGO)を運営しています。未来の変革者を世界へと送り出すのが、今の私の役目です。

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 ■人物略歴

Kathy Jetnil-Kijiner

 1987年マーシャル諸島生まれ。米ハワイで育ち、18歳でマーシャルに戻る。気候変動活動家として世界各地で講演活動を繰り広げている。母は昨年からマーシャル諸島の大統領。祖父が駐日大使の知日派。今回は日本のNGO「アース・カンパニー」の招きで来日した。

全文は温暖化の脅威迫る島 マーシャル諸島の活動家(詩人) キャシー・ジェトニル・キジナー氏

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