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福島の山火事で“放射性物質拡散”はデマ? 大手メディアの危うい報道姿勢 via 週プレNEWS

帰還困難区域内にある福島県浪江町の十万山(じゅうまんやま、標高448.4m)で4月29日に起きた山火事は12日間燃え続け、5月10日午後にようやく鎮火した。焼失面積は50ヘクタール以上。人が立ち入れない区域だけに消火活動も難航した。

火災の大きさと同時に今回、クローズアップされたことがある。それは山火事で放射性物質が飛散するかどうかだ。

ことの発端は、和歌山県の地方紙「紀伊民報」の5月2日付のコラム。知人から届いたというメールを紹介する形で浪江町の山火事についてこう書かれている。

『放射能汚染の激しい地域で山火事が起きると、高濃度の放射性物質が飛散し、被ばくの懸念がある。(中略)政府も全国紙も、この現実にあまりにも鈍感過ぎるのではないか』

浪江町の一部は今年3月31日に避難指示が解除され、住民が戻ってきている。もし、山火事が原因で住民が被曝をしたら大変だと注意を促した内容だ。

ところが、この記事に読売新聞と産経新聞が反応した。読売の記者は8日の内堀雅雄・福島県知事の定例会見で「紀伊民報に掲載されたコラムは、一部の方々にとっては不愉快な内容だ。(紀伊民報は)新聞協会に加盟している報道機関なので、何か対応する考えはあるのか?」と質問。知事が「県がやることは正確な情報発信に尽きる」と答えると、さらに別の読売の記者が「紀伊民報には対応していく必要があると考えられないか?」と畳みかけた。

また、産経新聞は5月8日夜の電子版で「福島・浪江の火事でネットにデマ情報『放射性物質拡散』雁屋哲さんや地方紙も言及」と題する記事を載せ、『一部地方紙はコラムで『放射性物質飛散』の可能性を指摘。実際は裏付けのない誤った情報だったが、福島県が火消しに動かざるを得ない状況となっている』などと述べた。

産経新聞が記事の中で、放射性物質が飛散しているのがデマだとする根拠はふたつ。

ひとつは『火災現場近くの3ヵ所に設置されている可搬型の放射線監視装置(モニタリングポスト)では、現在、空間線量率に大きな変動はない』こと。もうひとつは『福島県の担当者が、周辺環境に影響が及んでいる事実は一切ない』と話していることだ。

だが、いずれも正確な根拠とは言い難い。まず、福島県が火災現場近くの3ヵ所に放射線監視装置を設置したのは火災発生から1週間後の5月5日。それなのに、どうやって火災前後の空間線量率を比べられるのか?

(略)

さらに県は9日、放射線監視装置の置かれた3ヵ所で8日に測定した大気中のセシウム137の値が最大で前日の約9倍に上昇したことを明らかにした。

この測定結果を受けて、福島県放射線監視室は「測定地点の周辺の土ぼこりや焼却灰の舞い上がりの影響も否定できない」とし、モニタリングの継続と影響評価をこれから行なうという。

県が今回の山火事で放射性物質が飛散した可能性に初めて言及したことを考えても、紀伊民報のコラムが裏付けのないデマだとする産経側の主張は崩れ落ちる。

そこで、産経新聞社広報部に問い合わせたところ、「個別の記事や編集に関することにはお答えできない」などとする回答だった。

肝心の紀伊民報は9日付のコラムで『多くの方に心配をかけ、迷惑を与えた』と記事について陳謝したものの『内部被曝のリスクなどを考えると、いまも心配でならない』と記述。記事を訂正する方針もないようで、2日付のコラムは同紙電子版で現在も閲覧できる状態となっている。

実際のところ、今回の山火事で放射性物質が飛散するリスクはなかったのだろうか? 長崎大学大学院工学研究科教授の小川進教授は「セシウムは間違いなく飛んでいる」と話す。

(略)

福島県では奥羽山脈を超えて西から東へ強い風が吹くことも多い。十万山から北東方面に5キロ進んだところには避難指示が解除された浪江町エリアがあり、人が住んでいる。

今後のことを考えたら、検証をせずにデマと片付けることも危険だ。原発事故後の福島を丹念に取材し、ネット上で「民の声新聞」を発行するジャーナリストの鈴木博喜氏は大手メディアの在り方に注文を付ける。

「住民は被曝しないのか心配しています。なんでもデマと決めつけて議論を封じる前にきちんと検証するのが筋。オープンに科学的な議論をするべきでしょう」

風評被害はなくさなくてはいけないが、議論さえ許さない雰囲気は考え物だ。

全文は福島の山火事で“放射性物質拡散”はデマ? 大手メディアの危うい報道姿勢

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