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「放射能汚染防止法」制定運動 「原発事故に罰則」なるか via 毎日新聞

放射能汚染に罰則を科す--。こんな法律の制定運動が広がりつつある。東京電力福島第1原発事故で甚大な被害を出したのに、なぜ罰せられる人がいないのか。そんな疑問からスタートした、この「放射能汚染防止法」。どのような内容なのか。【沢田石洋史】

「加害者意識ないから」 今村復興相発言と、ひとつながり

 東京・永田町の衆院第2議員会館で3月下旬、「『放射能汚染防止法』制定に向けて」と題した勉強会が開かれた。脱原発に取り組む市民グループや国会議員秘書ら約50人が集まった。講師は札幌市の弁護士、山本行雄さん。放射性物質による汚染を「公害」として規制しようと訴えている。原発事故後に札幌市の消費者団体など6団体がスタートさせたこの運動の法律アドバイザーだ。

 「運動は、全国にジワジワと、しかし確実に広がりつつあります」。勉強会で山本さんは、公害規制の仕組みから解説を始めた。規制の基本は(1)大気を汚染するな(2)水質を汚濁するな(3)土壌を汚染するな--の三つの「するな」。大気汚染防止法や水質汚濁防止法などの個別法では「規制基準」が定められ、違反すると故意・過失を問わず罰則が科せられる。

 例えば、水質汚濁防止法では、カドミウム、シアン化合物、水銀などの有害物質ごとに基準が設けられ、違反すると、6月以下の懲役または50万円以下の罰金刑が科せられる。

(略)

法整備を求める機運を盛り上げようと、山本さんらは、地方議会に賛同を募る意見書可決を呼び掛けたり、各地で勉強会を開催したりしている。意見書は札幌など道内5市議会に加え、昨年は東京都小金井市議会、茨城県取手市議会でも可決された。

 公害を発生させた当事者に刑事罰を科す法律としては、個別法のほかに、最長7年の懲役刑を科す公害犯罪処罰法がある。ただ、山本さんによると、最高裁判例は通常の経済活動に伴う「排出過程」で起きた公害に限定するという解釈を示しており、原発事故に適用される可能性は低い。また、刑法の業務上過失致死傷罪で有罪にするには「事故を予見できたこと」と「結果を回避できたこと」を立証しなければならず、ハードルが高いという。同罪では東電の旧経営陣3人が強制起訴されたが、これは検察審査会の議決に基づくもの。これに先立ち、東京地検は不起訴としており、司法が積極的だとは言い難い。

(略)

規制基準などがない理由を環境省に尋ねると、こんな答えだった。「公害防止の前提は、通常の経済活動で排出される物質を規制するのです。例えば、煙突から出る煙などです。放射性物質については、原子力規制庁が厳しい安全規制をしています」

 しかし、福島第1原発事故は環境汚染であり、震災後6年たった今も多くの人が避難生活を強いられている。この構図は、多くの被害者を出した水俣病など「四大公害」と同じ構図ではないか。その疑問を同省の担当者にぶつけると「国会で聞かれていないので、公式見解は出していません」。

 この説明に前出の山本さんは憤る。「法改正して放射性物質を公害原因物質としたはずなのに、規制基準も環境基準も設けていない。法治主義に反します」。さらに、汚染や被ばくに責任を負わない仕組みが、自主避難者への住宅支援打ち切りなどにつながっていると批判する。「避難することは、公害被害者の権利ではないでしょうか。原発政策を進めてきた国には救済する責任があります」

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 放射能汚染防止法の制定運動にはどんな意義があるのか。公害問題に詳しい大阪市立大大学院教授の除本(よけもと)理史(まさふみ)さん(環境政策論)は「放射能汚染を想定した規制の策定は、安全神話が再びはびこるのを防ぐことにもつながります」と話す。

 さらに、政府が原発事故を公害と認めた上で、取り組むべきことがあると強調する。それは、被ばくによる健康への影響をフォローすることだ。放射性物質による影響は将来にわたって「ない」とは断定できない。「継続的な健康調査とともに被害が出た場合の措置も用意しておくべきです。07年に全面和解した東京大気汚染訴訟では、国や東京都などの負担による医療費助成制度が設けられ、因果関係の証明を条件とせずに、ぜんそく患者へ医療費支援を実施しました。原発事故にもこのような制度を設ける必要があります」

 公害を起こしたら責任を負わせる。国は原発再稼働を進めているのに、こんな当たり前のことをないがしろにしている。

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