27日の国民投票、スイスの原発は「古くなりすぎて危険」なのか? via SWI

緑の党など、国民投票にかけられるイニシアチブ「脱原発」の支持者は、スイスの原発の多くが世界で最も古い施設に属し、その老朽化が大事故のリスクを格段に高める、と主張する。そうした事故は、スイスのように人口密度の高い国では破滅的な被害をもたらすという。

スイスの有権者たちは、本当に原発の稼働年数だけを根拠に大事故を恐れているのだろうか?以下、さまざまな研究がそうではないことを示し、大事故のリスクにはその他の多くの要因が作用すると言っている。

深刻な事故はまれか?

世界原子力協会(WNA)は、商業用原発は「きわめて安全」で、「原発施設の事故が起きるリスクは低く、また低下している」と主張する。

同協会はウェブサイトで「商業用原発は原子炉年(1基×年数)換算で累積1兆6千年間、32カ国で稼働しているが、うち原子力施設で大事故が起きたのは3件」と公表している。

経済協力開発機構(OECD)の原子力機関(NEA)が出した2010年の調査も同様に、全電力網において実際に起こった事故のデータを分析し、「原子力発電は火力発電に比べて非常にリスクが低い」と結論づけた。最も多くの死者を出しているのは石炭部門。世界原子力協会は、大量の資源の発掘や発電所への運搬に伴う危険が一因とする。

しかし、連邦工科大学チューリヒ校と英サセックス大による最近の研究は、200件以上の事故を調べ、リスクが過小評価されていると示した。

研究者はメルトダウン(炉心溶融)が「どちらかと言えば」10~20年に一度起こると確信。原子力産業の示すデータは「亀裂が生じており極めて不完全」と断じ、原子力事故・故障のレベルを評価する国際原子力事象評価尺度はリスクを正しく理解するために改善されるべきだ、と話す。

ただ、事故を完璧かつ正しく描写できるのかどうかは不明だ。英科学誌ネイチャーによると、原子力の専門家は「客観的に『危険性』をランクづけるのはほぼ不可能。なぜなら原発施設はそれぞれ独自のリスクプロファイルを持っているし、ある種のリスクは単に人知を超えている」と話す。

専門家が一致するのは、色々な要素が考慮されなければならない、ということだ。経過年数はそのうちの一つに過ぎない。ネイチャー誌は、実は「必ずしも古い原子炉が新しいものより危険とは限らない」と明言する。

同誌は、三つの重大事故のうち2件は比較的新しい原子炉で発生したと考察する。米国のスリーマイル島事故は1978年当時、稼働3カ月でメルトダウンに陥り、チェルノブイリで災害が発生した86年時は、稼動からわずか2年後だった。2011年、福島の古い原発3基においては、津波が非常用電源と冷却装置を遮断したことで原子力事故に至っており、老朽化は直接の事故原因ではなかった。

(略)

検証と改良

世界原子力協会は、安全性の確保には検査官が中心的な役割を果たす、とする。国際原子力機関(IAEA)の原子力安全条約によると、経年により劣化や故障しやすくなる傾向はあるため、古い設備は定期検査と同時に大幅な改良が加えられなければならないという。地域レベルでは、スイスやEU諸国は、自国の原子力施設の稼働年数に関する報告書を提出し、17年に相互評価を行う方針だ。

スイス国内では、連邦核安全監督局(ENSI)が原発5基の寿命が続く限り、その運営を監督している。アールガウ州のベツナウ原発は、圧力容器の壁に生じた小さなひび割れがふさがれておらず、現在は閉鎖されている(1984年稼働開始のライプシュタット原発も安全上の理由で閉鎖されている)。万が一老朽化問題が深刻になれば、施設を廃炉にしなければならないという規定になっている。

40年から60年、そして80年へ

世界中の原子炉が老朽化しているという事実は、より多くの知識の共有やその安全性の研究に駆り立てている。

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