(核リポート)原発事故30年、廃墟に奇妙なにぎわいvia朝日新聞

チェルノブイリ原発から15キロ離れた制限区域内の街チェルノブイリに、カフェを備えた小ぎれいな宿泊施設を訪れた。駐車場には、小型バスが何台も立ち寄って、乗客を降ろしていく。

 乗客は国内外の観光客たち。お目当ては、原発と、近くの廃虚都市プリピャチだ。ウクライナの首都キエフでは、「チェルノブイリ・ツアー」などと銘打った日帰りツアーが、100~150ドル程度と手頃な価格で提供されており、彼らはそうしたツアーに参加している。ツアーに参加すれば、制限区域に入る手続きを業者任せにできる。

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正規の観光客以外に、「ストーカー」と呼ばれるチェルノブイリ愛好者も過去5年ほどで増えてきた。こっそり制限区域内に入り、廃虚を探検する10代後半から20代の若者たちだ。「ストーカー」とは、2007年に第1作が発売され、シリーズ累計500万本近くが売れたパソコンゲームシリーズのタイトル。原発事故の影響で突然変異した生物などと戦う設定だ。

 ログイン前の続き有名ストーカーでキエフ在住のマルキヤン・カミシュさん(27)は体験記を出版し、作家として売り出し中。カミシュさんによれば、ストーカーはリュックサックを背負って制限区域内を歩くハイカーのようなもので、その妙味は廃虚でたそがれることだという。

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 「ストーカーの連中はロマンチックなだけだよ」と、制限区域を管轄する警察署幹部のイーゴリ・ムニシェンコさん(37)は苦々しく話す。この警察署では、4月までにストーカーを含め75人を拘束していた。チェルノブイリ原発は、サブカルチャーの聖地と化しつつあるようだ。

 現在、15億ユーロ(約2千億円)の新シェルター建設などで7千人とも1万人ともいわれる人々が制限区域内で働いている。しかし、来年には大半の建設事業が一段落を迎える。

 雇用対策として、廃虚を起爆剤にした観光振興がますます重要になる――。そんな日が来るかもしれない。

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 まつお・いちろう ジュネーブ支局長兼モスクワ支局員。[…]

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