震源から80km!「川内原発は安全」というウソ 〜フクイチの教訓が何も生かされていない 【熊本大地震】元原子炉技術者らが警鐘 via 現代ビジネス

大地震が襲った直後、即座に「川内原発に異常はありません」と発表されたことに、違和感を覚えた人も多かっただろう。なぜそうまでして動かそうとするのか。どう考えても、一度止めたほうがいい。河合弘之氏(弁護士)と後藤政志氏(元東芝・原子炉技術者)が警鐘を鳴らす。

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河合 この期に及んで、まだ原発を動かしたいという人々が考えているのは、まずは何よりも経済的な事情でしょう。

川内原発の1号機・2号機を両方とも止めてしまうと、九州電力は1日あたり3億円の損をするといいます。ただでさえ九電は、昨年8月まで原発を動かせず経営に苦しんでいましたから、それだけは避けたいのです。

政府や経済産業省、規制委は、九電の経営を助けるということに加えて、「ようやく生まれた原発再稼働の流れを、止めるわけにはいかない」ということも考えている。

事実、地震が頻発していた19日に、愛媛県の伊方原発が再稼働に向けた審査をクリアしました。ご存知の通り、伊方原発は、地震が多発している大分県と海をはさんで向かいにある。何としても、再稼働の流れに水を差したくないのでしょうね。

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政府も電力会社も、「チキンレース」を国民に強いている。「怖いから止めよう」と言うやつは意気地なし、根性なしだとでも言いたいんでしょう。

「停電する」とウソをつく

後藤 技術的なことを言えば、福島第一原発事故の際、事故対応の拠点となった「免震重要棟」が川内原発にはありません。

東京電力の社長だった清水正孝氏は、のちに「もし免震重要棟がなかったらと思うと、ゾッとする」と証言しています。それほど重要なものを、作らずに済ませている。

河合 原子力規制 委は、再稼働の要件で「免震重要棟など耐震性のあるものを設置する」と定めています。この「など」が抜け道になっている。九電がやったのは、「ゆくゆくは 作ります」と言って再稼働の許可だけ取り付けて、後で勝手に撤回するという騙し討ちです。私に言わせれば許可の「詐取」ですよ。

福島の事故の教訓を本当に学んでいるのなら、真っ先にやらなければいけないことを、ウソまでついて誤魔化している。

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後藤 福島のときもそうでしたが、原発で過酷事故が起きれば、放射性物質の飛散状況や、原子炉の状態もよく分からないまま、皆がとにかく逃げるということになる。

現状の避難計画は、「事故が起きても原子炉はある程度コントロールできる」ということが前提ですが、本来ならば、最悪の事態を考えてこその避難計画のはずですね。

河合 そういうふうに本気で突き詰めていくと、原発が動かせなくなってしまうから、現実から目を背けているんですよ。そうでなければ、40年も前に作った高浜原発を、あと20年も使い続けようなんて狂った判断をできるはずがない。

真面目に考えると、原発なんてデタラメだと分かってしまう。だから原発を動かすには、「真剣にものを考えないこと」が必須になる。5年経ってもいまだに福島の事故原因を本気で究明せず、誰も責任を取らず、「大丈夫」「安心」と繰り返しているのがその証拠ですよ。

かわい・ひろゆき/’44年生まれ。東大法学部卒。ビジネス弁護士として活躍する傍ら、映画『日本と原発』『日本と原発 4年後』の製作など脱原発運動に携わる
ごとう・まさし/’49年生まれ。三井海洋開発を経て東芝に勤務し、原子炉格納容器の研究・設計に従事。東日本大震災後、原子力安全・保安院委員を務める
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