IAEA:原子力規制委の役割は法の執行 via Yahoo! ニュース

原発事業の許認可権を持つ規制当局の最も重い責任は、事業者が、安全基準やその資格を満たさない場合、許可を取り消す又は認めないこと、すなわち「法の執行」だ。

国際原子力機関(以後、IAEA)は、その重要な責任をどう評価するのか。1月22日に行われた原子力規制委員会(以後、規制委)とIAEAチームの会見で尋ねることにした。

IAEAは専門家からなる評価チームを組織し、1月11日から22日の12日間、日本の原子力規制システムを評価した。チームは、17カ国から訪れた19名の専門家と5名のスタッフからなる。

規制委がIAEAに事前に提出した自己評価(日本語版の案は2015年10月9日に委員会で公表)では、「執行」については、左に示すように、たった2ベージしか触れていない。とはいえ、IAEAが求めていることを、日本の法令が満たしていると、自己評価している。

簡単に言えば、原子炉規制法や放射線障害防止法を守れないの執行権限が規制委に与えられていることが「8.1 結論」に書かれている。原子 炉規制法なら「許可の取り消し(43条の3の20)」や、放射線障害防止法なら「認証の取り消し(12条の7)」など具体的な条文が「8.2 一般的事 項」に示してある。

(略)

記者会見は日本の一般紙記者、国際的な通信社、フリーランスの順で回ってきたが、私の番が来るまでに、すでに明らかになったことがあった。

・IAEA評価チームの役割は、東電事故後に制度や組織が整い、規制委に規制権限がきちんと移譲されたかを見ることである。

・規制委が原発再稼働について審査をきちんと行ったかなどを点検したわけではない。

つまり、規制委が、適切な判断が行える組織になりえているのか、規制者として機能しているのかを、具体的は事例に照らして見たわけではな い。ただし、記者からの質問に対し、ジャメ氏らは、規制委の役割は、事業者が規制基準を満たさない場合には許可を取り消すことを含め法を執行することだと は明言した。

規制者の能力をどう評価するのか

そこで私はこう問うことにした。

ジャメさんに質問します。あたなたは、繰り返し、特定の施設について評価を行ったわけではないと 仰ったが、最低でも1,2の例で、規制当局としての能力を評価しなければ、どのように評価ができるのか。法の執行が規制者として重要だと貴方たちは述べ た。例えば、もんじゅの事業者は、何百もの法違反を犯し、規制委も「能力がない」と指摘したにもかかわらず、許可取消を行っていない。このような例を取り 上げて初めて規制者の能力を見ることができると思う。どのように規制者の適正性を評価することができたのか。

(略)

IAEAが法の「執行」に関して改善を求めた点は評価できる。今後に期待はしたい。

しかし、法律の文言上、規制権限が規制委に移ったことだけを確認するのでは、東京電力福島第一原発事故の教訓を生かしたことにならない。

何故なら、東電事故は、規制者が被規制者に取り込まれたことにも起因する事故だからだ。IAEAは、規制委の前身組織による「法の執行者の不作為」という本質を見抜き、規制委が規制者として本当に機能しているのかを見なければならない。

規制者が規制者として機能していない。法の不作為の影響を再び受けかねない国民から見れば、IAEAが日本の規制委の能力や意思を適正に評価できたと考えることは、現時点では難しい。

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