(この人に聞きたい)原発のコストどう考えるか via 朝日新聞

立命館大教授・大島堅一さん(48)

――原発再稼働に反対の立場ですね。

東京電力福島第一原発の事故で、原発には大きなリスクが伴うことがはっきりしました。それなのに再稼働の責任を誰が負うのか、はっきりしません。原発が動かなくても電気は問題なく足りていたわけですから、原発は今すぐ廃止してもいいと思っています」

「福島の原発事故では、東京電力の被災者への賠償費だけでも7兆円と巨額ですが、その原資は各電力会社電気料金に上乗せして集めています。除染などには、莫大(ばくだい)な国の税金も投じられています。結局は国民負担です。原発のコストは安いとされてきましたが、そうした費用を考えると、決して安いとは言えません。なんのためにそこまでリスクのある再稼働に踏み切るのか、もう一度きちんと議論すべきです」

(略)

――原発の立地自治体などにも、早期の再稼働を求める声があります。

「関西では、原発が福井1県に集中しています。だから、原発を動かすには福井さえ抑えればいいという発想で地域対策が行われてきました。今でも福井に原発をという声の大きい人たちがいて、異議を唱えにくい空気があるのではないかと思います」

――福井出身者として、原発とどう向き合っていくべきだと思いますか。

「長い目で見れば、古い原発は維持できないので、望むと望まざるとにかかわらず原発はなくなっていく方向です。地元の人も、それは分かっていると思います。そこで原発に依存しない社会をどうつくるのか、国とともにビジョンを打ち出さないといけません」

「原発があるときにはお金を出すけれど、やめたら終わりというのでは地域はダメになります。遠回りのように見えますが、地域資源を生かした産業づくり、そして人材育成から始めるのが、将来の発展に向けた一番の近道だと思います」(西村宏治、伊藤弘毅)

おおしま・けんいち 1967年福井県生まれ。立命館国際関係学部教授(環境経済学)。従来の原発のコスト計算に批判的な立場で、2011年の東日本大震災後には国のエネルギー・環境会議の「コスト等検証委員会」委員も務めた。11年の著書「原発のコスト」(岩波新書)で大佛次郎論壇賞

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