東電社長、ジョブズばりのカジュアル記者会見 「その会見、福島でもできますか?」 地元紙のツッコミに会場凍り付く via IT Media ニュース

(抜粋)

東京都千代田区の東電本社で開かれた8月18日の会見は、広瀬直己社長のこんな言葉で始まった。来春に移行する持ち株会社のロゴマークなどを発表する会見だったが、開始直後から、出席した記者から「いつもの会見とは様子が違う」というささやき声が漏れた。

まず、通常の決算会見などのように、机や演壇上のマイクに向かってしゃべる形式ではなかった。広瀬社長は最初から、手ぶらで立ちっぱなし。歩いて移動したり、両手を広げたり大きく動かしたりしながら持ち株会社化の狙いなどを説明し、記者の質問にも立ったままで答えた。

前方の巨大なスクリーンでは、1883年に創業された前身会社からの歴史を振り返る3分ほどの映像が、BGMとナレーション付きで上映された。スクリーン上で新しい会社のスローガンやロゴマークが紹介されるときには、映画内で使われるような、劇的な効果音が使われた。

ある大手PR会社の関係者は「この演出には、広瀬社長や東電の『情熱』を前面に押し出し、企業のイメージを高めて消費者に訴えかける狙いがあったのだろう」と分析する

(略)

今回の東電の会見で“ジョブズ式”を取り入れることには広瀬社長が前向きで、事前にかなりの練習を積んだという。プレゼンには「改革」「イノベー ション」という言葉をちりばめて、「新生・東電」を強く訴えた。広瀬社長は説明内容をすべて頭にたたき込み、会見開始直後の記者たちの受け止めは、「ぎこ ちないが懸命に努力している」と、おおむね好意的だった。

空気が一変したのは、2011年の東日本大震災で事故を起こした福島第1原発を抱える福島県の地元紙記者が、厳しい口調で次の質問をしたときだった。

「社長、今のようにスライドを回し、手を広げて歩き回るプレゼンを福島県でできますか?」

重い一言だった。福島県民はいまなお避難を余儀なくされるなど、苦しい生活を強いられ、同時に、復興に向けて必死の努力を続けている。東京の記者からみれば「懸命の企業努力」として評価できる取り組みも、福島県民からみれば、軽々しく見えたのかもしれない。

(略)

ただ、どのような取り組みであれ、原発事故で苦難を余儀なくされている福島県民の感情を逆なですることは、決して許されない。顧客の獲得戦略と被災者へ の配慮のバランスをどう取り、両立していくのか。「やりすぎたのかな…」。会見直後に東電関係者がこうつぶやいたときの苦悩の表情が、東電の直面している 課題の難しさを物語っていた。(山口暢彦)

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