映画「寄生獣」改変で物議 フィクションは放射性物質をいかに扱うべきか via Kai-You

4月25日よりロードショー中の映画『寄生獣 完結編』の劇中で、原作漫画から改変され、当初から原作ファンなどから疑問の声が挙がり、専門家からの指摘によって改めて問題視されているラストの描写がある。

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Philip K. Anzugさんは、物語の終盤に泉新一が後藤を倒す際の鉄骨の付着物に問題があることを指摘している。

原作では、不法投棄現場に落ちていた鉄骨を後藤に突き刺すと、鉄骨に付着していた有害化学物質が、彼にとって致命的な被害を与える描写がみられる。

一方の映画版では、鉄骨に付着していた放射性物質が原因となって後藤は倒されるという設定の改変がなされている。

また、付着物の改変にともない、劇中の背景に「放射性がれき受け入れ反対」の看板が写り込むなど、ゴミ処理場に受け入れられた瓦礫に大量の放射性物質が付着していたという体で描かれていることも指摘。

東日本大震災以降、被災地で生じた瓦礫の他の地域での受け入れが検討されるなど、瓦礫の処理は被災地の復興のために社会全体で取り組む必要のある大きな問題である。

そして、原作改変を巡る今回の議論では、その放射性物質に対する誤認と、被災地の瓦礫受け入れへの風評被害の懸念という2点の問題が提起されている。

まず、原作における有害物質と、映画での放射性物質の決定的な違いは、放射性物質は体内に取り込まれずとも、近くにあるだけで体に害を及ぼすという点だ。

物語では、致死的な影響を持つ大量の放射性物質が付着している鉄骨が転がっている場所で、さらには鉄骨をつかんだ新一には致命的な被曝症状は起こらず、鉄骨を突き刺された後藤のみに症状が発生している。しかし、このような状況下では、その場にいる人物全員に被曝症状が発生すると、Philip K. Anzugさんは指摘している。

福島第一原発事故以降、放射性物質への関心は非常に大きく、また被災地の復興においても大きな課題となっている。このような描かれ方は、フィクションの世界であれ、事実誤認を招いてしまう可能性があるだろう。

全文は映画「寄生獣」改変で物議 フィクションは放射性物質をいかに扱うべきか

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