被災者“卒業”再び福島へ 避難少女「その後」も絵本に via 中日新聞

 絵本作家の松本春野さん(31)の新作「ふくしまからきた子 そつぎょう」(岩崎書店)は、東京電力福島第一原発事故後、福島から広島に避難した 少女の、その後の物語だ。「福島の子どもたちの心や暮らしの変化を絵本で残したい」と描いた前作から三年。「被災者や被災地から『卒業』していく過程も表 現する必要があった」と語る。

 原発事故をきっかけに、福島から母の実家がある広島に引っ越してきた主人公の「まや」。隣の家に住む少年「だいじゅ」に、大好きなサッカーに誘われても「だって みんな まだ そとで あそべないから」と断ってしまう…。

 二〇一二年四月に出版した前作「ふくしまからきた子」は、二人の小学生の交流を描いた。松本さんの父、猛さん(64)と、初めての共著でもある。

(略)

 「福島を訪れるたび、放射能について学び、測り、慎重な対策を重ね、暮らしを立て直してきた大人たちの姿に心を打たれた。その背中を見て成長した子どもたちは、とても良い笑顔を浮かべていた」

 続編になる「ふくしまからきた子 そつぎょう」では、母子避難した主人公「まや」が、かつて通っていた福島の小学校の卒業式に戻ってくる。絵本の表紙も、うつむく子どもの顔が中心だった前作に対し、今回は前を向いて明るい印象に仕上げた。

 「校庭を駆ける子どもたちを描くのは、やっぱりうれしかった。主人公の卒業だけでなく、私自身も含めて、放射能など分からなかったこと、不安だったことから『卒業』が必要だと思ったんです」

 松本さんはこの二つの作品を通じて、脱原発運動に関わるようになった。

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