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時代の正体〈48〉ハタチの叫び(上) 私が自由であるために 安部さくらさん via 神奈川新聞

東京電力福島第1原発事故が起きたのは高校1年生の時だった。1カ月後、近所でデモがあった。カメラマンの父(57)に誘われ、見に行った。

思い思いに「原発、いらない」と声を上げ、プラカードを手にした人の列をドラムの軽快なリズムが導く。

楽しそうだった。

「お母さんが小さい子どもの手を引いて歩いていて。デモってどんなものかも知らなかったけど、みんな言いたいことを言っていて、こういうやり方があるのか、と」

想像以上の人の多さに驚き、やがて安部さくらさん(20)=東京都練馬区=は愕然(がくぜん)とする。

「自分は何も知らない」

原発反対と叫ぼうにも、原発の知識は皆無に等しかった。

知りたい、知らなきゃ。

大学に進むと平和について考えるサークルに入った。

(略)

■警句
変化をはっきりと感じた瞬間があった。

毎夏、広島や長崎へ赴き、被爆者の体験談を聞いてきたが、「秘密保護法が話題になる前の2013年夏と、法律が成立して集団的自衛権の行使容認が閣議決定された後の14年夏で、語り部の熱意が一変していた」。

前年に続いて話を聞いた80歳近い被爆者は語った。

「本当に70年前の戦争の直前とよく似た状況になっている。いま止めなければ、もうすぐ戦争が始まってしまう」

世間を覆う漠然とした閉塞(へいそく)感、海外での戦争に前のめりになる政府、自由にモノが言えない雰囲気。

これまで経験を語ろうとしなかった被爆者が重い口を開き始めていた。入院している病院を抜け出し、集会に駆け付けた被爆者もいた。

異口同音に語られる「戦前と似ている」の警句。「私は聞いてしまったし、知ってしまった。『今日の聞き手は、明日の語り部』と言う。私が伝えていくのだと思う」

■理由
デモをやったところで政治を動かせるわけじゃない。過剰に反応しているだけじゃないか。そう冷笑するもう一人の自分もいた。

思い出されたのは、大学の教授の言葉だった。

オオカミ少女になれ-。

「国が危機的な方向へ向かっている。そう気付いたら『おかしいよ!』『まずいよ!』と言いふらせばいい。実際、そうならなくてもいい」

そう。危ないと感じる自由、それを口にする自由が私たちにはある。

全文は時代の正体〈48〉ハタチの叫び(上) 私が自由であるために 安部さくらさん

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