クローズアップ2014:原発ADR 東電、和解案拒否 揺らぐ賠償指針 via 毎日新聞

東京電力福島第1原発事故で、国の原子力損害賠償紛争審査会が定めた損害賠償の指針が揺らいでいる。避難を余儀なくされた住民たちが申し立てた原子力損害賠償紛争解決センターの和解仲介手続き(原発ADR)では、指針策定時には十分考慮されなかった被害が認定される傾向が強まり、東電側が和解案を拒否するケースも出始めた。避難自治体のまちづくりの方向性にも影響を及ぼす可能性もあり、専門家らは「実態に応じた新たな指針が必要」と指摘する。【深津誠】
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◇浪江、2年で186億円増

 「原発事故で避難した福島県浪江町民1万5546人の2、3年目の精神的損害については、月10万円の賠償額を5万円ずつ増額する」。今年3月、同町が代理人となって申し立てた原発ADRの和解案は、国の紛争審査会が「2011年9月以降は避難生活も落ちつき始めるため、月10万円から減額するのが目安」と記した賠償の中間指針とは対照的な結論だった。

 避難2、3年目の2年分で少なくとも約186億円も賠償額が増える計算になる和解案。東電は今年1月に表明した「和解案を尊重する」との「誓い」をかなぐり捨てて拒否した。さらに、飯舘村蕨平(わらびだいら)地区住民への被ばく慰謝料や精神的賠償の一括払いの和解案も拒否するなど拒否継続事例は計9件に上っている。

 その背景には、国の指針以上の賠償責任が定着することへの警戒感があるとみられる。浪江町の和解案が大熊、双葉、富岡の各町など同様の被害を受けた自治体に波及すれば、支払額は総額1000億円以上も増えてしまうのだ。東電が提出した和解案拒否の文面には「申立人ごとの個別事情を考慮せず、指針と乖離(かいり)している」「(指針に基づいて賠償した)他の避難対象者に対する公平性、透明性の面で影響が極めて大きい」など、指針へのこだわりに加え、ADRの集団請求そのものの否定につながる主張まで並んだ。

 なぜ、指針と異なる和解案が示されるようになったのか。「当初は机上の交通整理だったのが、現地を見て被災者と意見交換することで、肌で感じる部分があったと思いますね」。馬場有・浪江町長はこう振り返る。

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