焦点:原発停止で政府系に駆け込む電力業界、「国民負担」増大のリスク via ロイター

(抜粋)

<再値上げ言及に官邸は激怒>

「首相官邸サイドから経済産業省幹部に強い叱責があったようだ」──。北海道電力(9509.T: 株価, ニュース, レポート)が電気料金の再値上げ検討を表明した今年2月17日の直後、北電を抑えられなかった経産省に対し、官邸側が激怒したと大手電力の関係者は語る。

4月1日からスタートした17年ぶりの消費税率引き上げ。その増税の心理的なマイナス・インパクトに追い打ちをかけかねない電気料金値上げを表明した北電に、官邸側のいら立ちが表面化したとみられている。

北電は昨年9月、家庭向けなど規制部門向けで平均7.73%の値上げを実施。翌18日には茂木敏充経産相が記者会見で「最大限の経営効率化など値上げ回避に努力することが重要」と発言し、再値上げにクギを刺した。

だが、そのけん制発言を振り切ってまで、値上げ表明せざるを得ない事情が北電にはあった。

(略)

<中長期も廃炉という負担>

また、関電は古い原発を抱えているという不利も付いて回る。ロイターの調査では、美浜1─3、高浜1、2、大飯1、2の計7基について、運転開始から40年前後という古さを主因に再稼働困難と判定した。

再稼働ができなければ、いずれ廃炉を迫られる。経産省は、廃炉決定の場合、関連費用の引き当て不足を一括計上する従来の仕組みを昨年10月に変更。廃炉決定後も10年間は電気料金で回収できるようにした。

将来の廃炉コストは、「原子力発電施設解体引当金制度」に基づき、電力会社が見積り額を算定し、電気料金に上乗せしてきた。見積りの合計額は約2兆8000億円(12年度末、東電福島第1原発5・6号機含む)に上る。

だが、解体費用、解体に伴って生じる廃棄物の処分、施設撤去までの維持費、運転中に出た低レベル放射性廃棄物の処分などで構成される廃炉コストが、上記の見積額に収まる保証はない。

廃炉作業が始まっている東海原発(出力16.6万キロワット)の場合、解体に347億円、廃棄物の処分に538億円の計885億円という見積もりになっている。

(略)

電気料金高止まりの要因と指摘されてきた「総括原価方式」は、政府が導入を決めた電力システム改革の第2弾の「小売り全面自由化」が実施される2016年度以降、競争の仕組みを入れることが困難な送配電部門のコストを除き、順次廃止される。

首都圏など大都市圏の電力市場には、都市ガスや石油、商社など異業種からの参入が見込まれるが、経産省は、電力会社同士の本格的な競争の進展こそ、電気料金の高止まりを是正すると期待する。

ただ、2000年3月に始まった、大口需要家を対象とした電力小売り部分自由化では、大手電力が営業区域外の顧客に供給した事例は、九州電による中国電力(9504.T: 株価, ニュース, レポート)管内にある商業施設に対してのわずか1件にとどまる。

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