【書評ウォッチ】福島第一原発「決死隊」の記録 突入時に見た「真実」語る via J-Cast News

   ちょうど2年たった東日本大震災の、あふれる関連本の中で個性的な3冊が「3・11」直前の紙面に載った。『死の淵を見た男』(門田隆将著、PHP 研究所)は、福島第一原発壊滅の現場にとどまった吉田昌郎所長と所員たち「決死隊」の死闘を見つめたドキュメント。政官民のもっぱら上層部に取材しただけ の本にはない修羅場の記録だ。

(略)

「戦時中の日本とまるで同じでは」

マクロ的に全体像にせまった『カウントダウン・メルトダウン』(上下二巻、船橋洋一著、文芸春秋)が朝日と読売に。民間事故調をとりまとめた 著者が日米の要人300人余に取材した。米軍横須賀基地から空母が離脱、首都被害を想定した首相談話の用意……現場とはちがったレベルの動きにも記録と議 論の価値がある。

政府の混乱、責任逃れとしか思えない本社の対応が現場や市町村長たちの危機感を増幅した。「まるで太平洋戦争指導部の内幕に通じている」(朝日の評者・保阪正康さん)、「戦時中の日本とまるで同じではないか」(読売の評者・星野さん)と、誰もが思う。

マスコミの中で一貫して反原発の視点から報道してきた東京新聞特報面の記事をまとめたのが『非原発』(一葉社)だ。「国民のマジョリティーの 声をきちんと反映した」と、東京新聞で評者の文芸評論家・川村湊さんが薦める。賛否はあるだろうが、ユニークな紙面にはちがいない。書評の「ユーモアの感 覚が足りない」は余分で、これ自体が笑えるトンチンカンな記述だ。ユーモラスにやることではない。

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