エネルギー計画:首相「白紙」 原発見直しに拍車 via 毎日jp

東京電力の福島第1原発事故の収拾のめどが立たない中、菅直人首相がエネルギー基本計画の見直しに言及したことで、原発の新増設を前提にした日本のエネルギー政策を政府が抜本的に転換する可能性が高まった。

「地震の影響は調査中」(北海道電力・佐藤佳孝社長)、「(3月中に示す予定だった)経営計画は4月下旬に示したいが、約束できない」(関西電力・八木誠社長)。先週から今週にかけて記者会見した電力各社トップは、震災で見通せなくなった先行きにそろって厳しい表情を見せた。

今回の震災では、東電や東北電力にとどまらず、電力卸を含めた全12社が経営計画の発表先送りを余儀なくされた。福島第1原発事故で国民の原発不信が高まり、「(供給見積もりの前提である)新増設や運転再開の議論がまったくできなくなった」(経済産業省幹部)ためだ。

中国電力は震災後、関係者への福島第1原発事故の説明を優先するとして、上関原発(山口県上関町)用地の造成工事を一時中断した。中部電力は浜岡原発(静岡県御前崎市)6号機の着工を2015年から1年延期することを決めた。関電も美浜原発(福井県美浜町)1号機の後継機設置に向けた地質調査を中断。福島第1原発事故が長期化する中、電力各社は「想定を超える津波が来たことへの対応を緊急にやること」(中国電力・山下隆社長)しかできない状況に置かれている。菅首相の発言が、こうした原発見直しの動きに拍車をかけるのは確実だ。

震災前、日本の電力の約3割が原発で賄われていた。昨年6月に閣議決定したエネルギー基本計画も、30年までに原発を14基以上新設することを柱にしている。原発建設をストップすれば、当面は火力発電に頼らざるを得ず、石油や液化天然ガス(LNG)など代替燃料の費用負担が重くなる。東日本大震災に耐えうる安全対策が求められるのも必至で、設備投資額が従来より膨らみ、政府や電力業界の「原発は安上がり」との主張は覆されかねない。

また、太陽光など自然エネルギーの開発には時間とコストがかかる。エネルギー政策のかじ取りを誤れば、電力の供給不足が常態化し、企業活動や暮らしにも大きな影響を及ぼすことになる。

エネルギー計画:首相「白紙」 原発見直しに拍車

 

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