被災者の不信呼ぶ 国の住民健康支援 via 中日新聞

健診拡充に後ろ向き

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「線量評価にこだわるより、健診の拡充を」と求めた津田敏秀・岡山大教授
 福島原発事故後の健康支援を議論する環境省の専門家会議が、あらぬ方向に走り始めている。今月16日の会合でも、外部から招いた研究者が健康診断の拡充を求めると、座長は「議論したくない」とそっぽを向いた。健診拡充は子ども・被災者支援法も求めているが、座長自ら「成立時と現在は状況が違う」という声を上げている。被災者たちがこうした姿勢を到底、受け入れられるはずもない。 (榊原崇仁)
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 「(福島原発事故で拡散している)放射性物質が福島県境でとどまるとは思わない。早く県外の住民の症例も把握すべきだ。放射線量の評価ばかりに、こだわるべきではない」

 16日にあった環境省の専門家会議。ゲストで招かれた疫学者の津田敏秀・岡山大教授は、同県内外の住民がどれだけ被ばくしたかの議論に時間を費やす会議の現状に疑問を呈した。
 しかし、座長の長滝重信・元放射線影響研究所理事長は「非常にユニークな方がおられる」と、津田教授の指摘を突き放した。
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津田教授は会議の席上、「病気とその原因の因果関係を考える際、原因側のデータが少なくなりがちだ。病気の側から考えるのが、国際的な疫学分析の基本になっている。原因から考えるのは、実験室のやり方にすぎない」と主張した。
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さらに「線量評価にこだわると対策を先送りし、被害を広げる」と続け、同県内外で甲状腺がんやその他の病気の症例把握のため、早急に健診し、事故を境に病気が増えたか、地域によって差があるかなどを分析すべきだと強調した。

 会議に招いたにもかかわらず、座長の長滝氏はこの意見をほぼ無視した。

 この対応に対し、津田教授は「私はオックスフォード大出版局の教科書に基づいて発言している。先生の方がユニークですね」と応酬したが、長滝氏は「先生と議論するつもりはありません。線量に基づいて議論する」と述べ、一方的に話を打ち切った。

デスクメモ

 専門家会議を長滝さんが仕切っている。この事実だけで、政府が福島原発事故をどう総括したかは明白だ。放射線影響研究所の前身は「治療はせず、原爆の効果を調査」した米国の原爆傷害調査委員会(ABCC)だ。そこに連なる人脈が「安全神話」に関与した。いまは「安心神話」の流布に奔走している。(牧)

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5 Responses to 被災者の不信呼ぶ 国の住民健康支援 via 中日新聞

  1. norma field says:

    「病気とその原因の因果関係を考える際、原因側のデータが少なくなりがちだ。病気の側から考えるのが、国際的な疫学分析の基本になっている。原因から考えるのは、実験室のやり方にすぎない」。津田敏秀教授の指摘に目から鱗の感があります。線量数値のみに固執することがいかに隠れ蓑になっているか。実在する問題を調べる必要性から目をそらす効果があるのですね。もちろん、線量数値もだいじな手がかりですが、それも許容数値を上げるばかりという人間蔑視の対策になっているとしか思えません。

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