世界3位の資源大国! 地熱発電、国立・国定公園の壁厚く「宝の持ち腐れ」via msn.産経ニュース

「インドネシアは国策としてどんどん地熱を増やそうとしている。世界一になろうという必死な思いを感じますね。それを日本の技術力でサポートするのだから責任重大です」

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「世界各国が化石燃料への過度の依存状態から脱しようと奮闘しているが、多くの国にとってその解決策は膨大な地熱資源を上手に利用していくことだ。私はインドネシアを世界最大の地熱エネルギー利用国にするつもりだ」

インドネシアのユドヨノ大統領は2010(平成22)年4月26日、地熱業界の関係者が集まり、バリ島で開かれた世界地熱会議の開会式でこう胸を張った。

インドネシアは経済発展と人口増加に伴い、電力消費量が増え、2003年には石油輸出国から輸入国に転じた。

そこで大統領が着目したのが地熱発電だった。

地熱発電は、再生可能エネルギーでは屈指の安定性を誇る。太陽光や風力のように天候に左右されることはなく、365日フル稼働できるベースロード電源だ。燃料費はゼロな上、化石燃料のように温室効果ガスも排出しない。

2005年に発布した大統領令では、当時86万キロワットだった地熱の出力を20年後の2025年に950万キロワットにまで増やすという野心的な目標を 掲げた。計画はやや遅れているが、すでに120万キロワットを超え、米国、フィリピンに次ぐ世界3位の地熱発電大国となった。

インドネシア同様に経済発展著しいアフリカやアジア、中南米の多くの国々も地熱開発に力を入れる。

西日本技術開発を始めとする日本の技術力への期待は大きい。

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とはいえ、日本での地熱発電はお寒い限りだ。国内で稼働中の電気事業用の地熱発電所は13カ所、自家発電用も含めた総出力は53万キロワットにすぎない。

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そこで西日本技術開発は、九電とともに国内最大の八丁原発電所(大分県九重町、出力11.2万キロワット)をはじめ、次々に地熱発電所を手がけた。資源探査から施設設計、維持管理まで一貫して担える企業は、今も世界中で西日本技術開発しかない。

だが、西日本技術開発は20年ほど前から海外に主戦場を移さざるを得なかった。国内の地熱発電“熱”がすっかり冷めてしまったからだ。

九州では、平成8年11月に稼働を始めた滝上発電所(大分県九重町、出力2.7万キロワット)を最後に、電気事業用の地熱発電所は建設されていない。全国的に見ても11年3月の東京電力八丈島発電所を最後にどこにも建設されていない。

資源エネルギー庁によると、火山国・日本の地熱資源量は出力に換算して2347万キロワットもあり、米国(3千万キロワット)、インドネシア(2779万キロワット)に次ぐ世界第3位。フルに生かせば、原発20基に相当する。

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もう一つ、地熱普及の障壁がある。温泉地の反対だ。

平成24年4月27日、全国約1400のホテル・旅館が加盟する社団法人「日本温泉協会」は声明を出した。

「わが国は豊富な地熱資源を十分に生かしきれていないという意見も聞かれますが、すでに日本は『温泉』として最大限利用している世界有数の地熱利用国です。(中略)この温泉を無秩序な開発で失ってよいのでしょうか」

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地熱発電に積極的に取り組む温泉地もある。九重観光ホテル(大分県九重町)は、深さ350メートルと400メートルの2本の井戸で取り出した蒸気で自家発電している。出力は990キロワットで、47室のホテルで使う電力の100%をまかなう。

杉乃井ホテル(大分県別府市、1900キロワット)や霧島国際ホテル(鹿児島県霧島市、100キロワット)も同様に取り組んでいる。

これらは小規模な自家発電なので、電力会社の事業用発電とは異なる。しかし、地熱の恵みで温泉が湧き出て、温泉街の電力もまかなえる-。そんな地熱発電所と温泉地が共存共栄する「エコ温泉地」が誕生するかもしれない。

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