東芝、生命線・原発事業で重なる誤算~相次ぐ建設計画の中断、大型買収の子会社迷走… via ビジネスジャーナル

東芝は、英国の原子力発電事業会社・ニュージェネレーション(ニュージェン)の株式60%を約1億ポンド(約170億円)で取得し買収する。3基の原発受 注が内定し、2024年に1基目が稼働する予定だ。東京電力福島第一原子力発電所の事故以降、停滞していた原発事業にとって浮上のきっかけになる受注だ。 ところが、こうした成果の割に関係者の表情はさえない。東芝の周辺では、いったい何が起きているのか–。

「本当はホライズンが欲しかった」。そう東芝の関係者はささやく。英国における原発事業での東芝の第一目標は、日立製作所が12年に買収した原子力 発電会社、ホライズンの案件だった。最終的に日立側が買収額を900億円近くまで引き上げたことで、東芝はホライズンからの原発設備の受注を断念した。

東芝がホライズンを獲得したかった背景には、原発の構造の問題がある。原発には、BWR(沸騰水型軽水炉)とPWR(加圧水型軽水炉)という2つ の炉型があるが、ホライズンの炉型は日立や東芝が開発を主導した改良型BWR。一方、ニュージェンの炉型は米ウェスチングハウス(WH)のPWRだ。

(略)

コストの面から原発を推進してきた新興国でも逆風が吹く。ベトナム初の原子力発電所の建設計画で、ロシアが受注した第一原発の着工時期が延期される 見通しになっている。福島第一原発の事故をきっかけに、安全の見直しを求める声を無視できなくなったためだ。東芝が関わる第二原発建設の日程にも影響は避 けられそうもない。

●迷走する子会社の経営

成長を牽引するはずだった子会社のWHの経営も、東芝にとっては誤算だ。06年に買収後も東芝とWHの経営陣の足並みがそろわず、最高経営責任者 も何度か交代。東日本大震災後、WHの大株主が株式を売却し、その分を東芝が保有したままになるなど経営の舵取りが定まらない。

原発プロジェクトは多大な出資を求められるうえに、利益を生み出すまで十数年かかるケースも少なくない。「経営体力がないと継続することができな い事業」(大手電機幹部)だが、東芝は00年代半ばまでに原子力に経営資源を集中させる戦略をとり、原発事業が揺らげば会社全体が揺らぐことになる。縮小 や撤退の選択肢は残されていない。

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