日立の原発、英国に未来託す via 日経ビジネス

日立製作所が、英国の原発事業会社を約860億円で買収する。逆風の中で原発推進国に寄り添い、世界展開を強化する。だが、発電を担う電力会社は未定。ハイリスクの賭けに出る。

日立製作所が、原子力発電所推進国の英国で賭けに出る。10月30日、同社は6億7000万ポンド(約860億円)を投じて、原発事業会社である英ホライズン・ニュークリア・パワーを買収すると発表した。

「原発を作る場が欲しい」。日立で原発事業を統括する羽生正治・執行役常務の言葉は、原発事業を取り巻く苦境を物語る。福島第1原子力発電所の事故で国内では原発の新規建設は困難になり、原発事業の維持・拡大は海外展開がカギを握る。

だが、これも容易ではない。原発大国の米国はシェールガス革命に沸き、仏オランド政権は7割以上ある原発依存度を5割に引き下げる公約を掲げる。 脱原発のドイツは言うまでもなく、日立が原発受注を内定していたリトアニアでは、国民投票で建設反対が多数となった。新興国では、韓国や中国の原発メー カーとの競争が激しい。

その中で英国は、原発推進を掲げ、新規の建設需要が確実に見込める数少ない先進国の1つ。英国は電力供給の18%を原発に依存しているが、稼働中 の原発は老朽化が進み、1基を除く15基が2023年までに寿命を迎える。英政府は、再生可能エネルギーの普及を急ぐが、原発の新規建設はエネルギー政策 の柱の1つだ。エドワード・デービー英エネルギー・気候変動相は、「英国は新しい原発開発の飛躍台になる」と述べ、日立を呼び水にした投資誘致に意欲を見 せた。

(略)

英政府は、電力卸価格が一定価格を下回った場合に差額を補塡するが、その「行使価格」が決まっていない。現在、英国の原発建設計画で先行する仏電力会社EDFが英政府と行使価格を交渉中だが、日立の交渉はこれからだ。

「買収過程で英政府から感触は得ている。建設開始まで、まだ時間はたっぷりある」と羽生氏は言う。日立は今後、英国での実績を武器に世界で原発を受注していきたい考えだ。日立の賭けは、国内だけでは存続が困難となった日本の原発産業の将来をも左右する。

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