(どうする汚染水)漁場守るため、選択必要 野崎哲・福島県漁協連合会長に聞く via 朝日新聞

 ――東京電力福島第一原発汚染水漏れなどのトラブルが相次いでいます。

 我々が求めているのは汚染水を海に放出しないことに尽きる。汚染水がたまりすぎて処理が破綻(はたん)し、海へ出る恐れがあるなら、原発建屋に流入する前の地下水を迂回(うかい)させて海に放出する地下水バイパス計画は、やむを得ないのではないか。

――そう考える理由は。

トラブルが相次ぐ不安定な状態から脱しないと、漁師の生活は元に戻らない。反対だけしていればいい問題ではない。福島県南部では震災後2年7カ月ぶりに、流通を伴う試験操業が始まった。漁場を守るため、我々漁師自身が決断すべきだ。決断の責任を負うことを恐れてはいけない。

――汚染水を入れたタンク周辺の井戸水から高濃度の放射性物質が観測され、それより海側の地下水バイパス用のくみ上げ井戸への影響が心配されています。

地下水バイパスの井戸水を国と東電が責任をもって観測し、放出する水は周辺の一般河川なみの放射性物質濃度にしてもらう。東電には「放出する水に異常があったらバイパス計画は終わりですよ」と伝えてある。

――地下水バイパス計画の容認で、県漁連はまとまるのですか。

めどは立っていない。風評被害を心配して反対する漁師は少なくない。しかも、汚染水漏れの発覚で議論自体が止まってしまった。ただ、建屋に流入する水量を減らす必要性は変わらない。東電が協議を申し入れてきたら、試験操業のなりゆきを見ながら再び議論を始める。

(略)

(聞き手・西堀岳路)

のざき・てつ 福島県沿岸の7漁業協同組合を束ねる県漁協連合会長。県旋網(まきあみ)漁協、小名浜機船底曳網(そこびきあみ)漁協の組合長も兼ねる。

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