「五輪ありきの工程が心配」 福島第一原発の作業員 via 東京新聞

安倍晋三首相は二〇二〇年の東京五輪に向け、東京電力福島第一原発の汚染水対策を政府が責任をもって進めると国際社会に約束した。事故収束を担う作業員からは「東京五輪ありきで、現場の状況を無視した工程表が組まれるのではないか」と懸念する声が出ている。 (片山夏子)

 「一番恐れているのは、事故発生当初のように工程表が机上で作られ、現場に押しつけられること」とベテラン作業員は言う。

 事故発生から一カ月後の一一年四月、現場は作業員も重機も、道具や材料を運ぶトラックも足りない状態だったのに、政府と東電が年内の工程表を発表した。

 工程表は毎月改定され、男性は「現場の状況を考えずに発表された工程表に悩まされた。絶対無理だとみんな悲鳴を上げていた」と振り返る。「政府がやるって発表しちゃったから」と夜中に駆り出されたこともあった。

 今年六月にも、炉内の状況さえ分からないのに、溶けた核燃料の取り出しを前倒しする工程表が発表された。「無理な工程でも、発表されれば、それに沿って現場は動かされる」と男性はため息をつく。

(略)

ある作業員は、事故直後、高濃度の放射性物質が建屋内から検出されたが、混乱を招くとして発表されなかったと明かす。この作業員は国際機関などの目が必要だとし、「第三者を入れて事実を公表し、きちんとした対策を進めてほしい」と話す。

 福島第一で長年働く男性は「現場は五輪のためではなく、事故収束に向けて作業をしている。政府は世界に公約したように、責任を持って廃炉に向けた作業が進むようにしてほしい」と訴えた。

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