(抜粋)
黒木
「ロンゲラップ島は、マーシャル諸島にあります。
アメリカは、ビキニ環礁など、ここマーシャル諸島で、1946年から10年あまりの間に67回もの核実験を行いました。
1954年には、日本の漁船、『第五福竜丸』の船員が被ばくするなど、深刻な被害をもたらした実験も含まれています。
この時の実験では、ビキニ環礁からおよそ200キロ離れたロンゲラップ島にも放射性物質が降り注ぎました。
1,750ミリシーベルト以上の放射線量が観測され、島民は被ばく、別の島などへの避難を余儀なくされました。
1990年代になってアメリカ政府は責任を認め、除染作業とともに、復興事業を進めてきました。
3年前からは、安全対策が完了したとして島民に島に帰るよう呼びかけています。」(中略)
かし、島民たちにとって、島に戻ることには不安もあります。
アメリカ政府によって、除染が行われたのは、住宅地周辺のおよそ15ヘクタールに過ぎません。
除染が行われていない地域の9か所で原水協が放射線量を計測したところ、1か所でアメリカ政府が定めた基準値を上回ったのです。
除染されていない場所でとれる食材を食べ続けることはできません。
体内に放射性物質が蓄積するおそれがあるからです。
さらに、帰島への妨げになっているのが、根強いアメリカへの不信感です。
実はアメリカ政府は、核実験から3年後に安全だとして、避難していた島民を島に戻したのです。
しかし、戻った島民に甲状腺がんや白血病などの異常が相次いだといいます。(略)
太田記者
「多く聞かれたのは、帰島して本当に子どもたちが安全に暮らせるのかという声でした。
島の一部だけではなく、すべてが除染されなければ、帰るべきではないという意見も多く聞かれました。
調査団が46人の島民を対象に行った聞き取り調査でも、『今すぐ帰りたい』と答えた人はわずか4人で、ほとんどの人は帰島を望みつつも、放射能への不安から帰島をためらっているというのが現状です。
背景には、アメリカによる情報提供の少なさがあると思います。
アメリカは空間放射線量のほか、島の食料に含まれる放射性物質の検査を続けています。
しかし、そのデータは島民に提供されていません。
こうした不透明さが島民の不安をさらにかきたてていると感じました。」
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