スピーディの情報隠しをきっかけに、文科省職員らは心を改めて、いまは人命最優先で仕事をしているのだろうか。それはたとえば、いま福島県内に文 科省によって数多く設置されている放射線量測定器(モニタリングポスト)のデータが、正確さという点で信用するに足りるか……という問いでもある。
原発事故後も依然として「年間20ミリシーベルト」というきわめて危険な“安全”基準で、福島の子どもたちが放射線汚染地域に放置されていること を考えると、いったい何のためのモニタリングポストなのか、その数値は本当に信頼できるものなのか――について考えてみる必要性を感じる。
10月1日、宮城県仙台市内で行われた講演会(題目:「文科省の線量計のウソと真実!」)では、以下の【1】~【3】が報告され、会場はおおきなどよめきに包まれた。
【1】福島県内のモニタリングポスト測定値が実際よりも低くなるように設定されている可能性があり、正確な放射線量を知るには、モニタリングポストの数値を1.5~2倍しないといけないこと
【2】モニタリングポストの周囲が除染(=移染)されていたり、地面に鉄板が敷かれていたりして、モニタリングポストが汚染の実態を正しく測定していない可能性があること
【3】それらの“操作”が広い範囲にわたって〈系統的に〉行われている可能性があること
このことを報告したのは、琉球大学名誉教授で、今は《市民と科学者の内部被曝問題研究会》のメンバーとして、内部被ばくの問題に警鐘を鳴らしている矢ヶ崎克馬氏だ。
矢ヶ崎氏は、現在、福島県浜通り51ケ所、郡山市72ケ所他で設置されているモニタリングの測定値について検証を進めている。具体的には、(1) 設置されているモニタリングポストに、他の放射線測定器を10㎝以内まで近接させて放射線量を測る、(2)設置されているモニタリングポストから2mと 5mの地点の放射線量を測る(3)設置されているモニタリングポストに近接した「除染されていない場所」数ケ所の放射線量を測る等によって、「設置された モニタリングポスト」の正確さを検証する等の試みである。
特に矢ヶ崎氏からの報告で興味深いのは、次の事実だ。
矢ヶ崎氏らの検証は、福島県内100ケ所を超える場所で、別の測定器で放射線量を測り直すものだが、「設置されているモニタリングポストの数値を、別の測定器の数値で、割ってみた」結果が講演会では紹介された。
もし、2つの測定器が両方とも正確なものであれば、その「割った値」は、ほぼ「1」もしくは「1前後」、つまりある場所では、設置してあるモニタ リングポストが高めに放射線量を測定し、またある場所では、別の測定器のほうが、少し高めに測定値を測定するということになってよい。それならば、2つの 測定器のズレは、「誤差」として許容できる。ところが、矢ヶ崎氏によれば、文科省が福島県内各地に設置しているモニタリングポストの中には「汚染の少ない 地域では、別の測定器の90%程度、高い汚染地域では別の測定器のおよそ70%」の値しか示さず、「程度の差こそあれ、全体的に文科省の設置したモニタリ ングポストが別の測定器よりも低い数値しか示さないこと」がわかったという。矢ヶ崎氏は、これらの現象を「系統的な値の低減化」と表現し、「設置者の意図 が働いている可能性」についても示唆した。
このことで思い出すのは、福島県郡山市で見られた放射線量の“人為的操作”と、同市小学校での“鉄板プール”だ。
まず、郡山市は、以前、空間の放射線量を、建物の屋上、つまり線量が低目になる場所で計測し、その値を公式データとして公表し市民を安心させよう としていたことがある。また、夏のプールを強行する際、そのままではあまりに放射線量が高いので、いくつかの小学校ではプールサイドに工事用鉄板を敷いて 放射線の遮蔽物とし、さらにその異様な鉄板プールの光景を少しでもやわらげるために、鉄板の上に、緑の人工芝を敷いて子どもたちをプールに入らせていたこ とも知られている。
続きは 意図的? それとも偶然? 福島・モニタリングポストの怪
参考: 放射能モニタリングポストの実態調査―指示値の系統的低減化― via 市民と科学者の内部被爆問題研究会(報告書)
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