(抜粋)
今年の春以降、その大飯原発再稼働に関わる議論が紛糾する中で、後景に押しやられてしまったトピックがある。それが、丸山佑介著『ガレキ』(ワニブックス)が再提起する、震災がれき広域処理の問題である。
2011年11月に東京都の石原慎太郎都知事が震災がれきの広域処理に反対する声に対して、「(放射線量などを)測ってなんでもないものを持って くるんだから『黙れ』と言えばいい」と発言して賛否の声が巻き起こってから、今年5月に北九州市で起きた受け入れ反対の抗議騒動までの約200日間を本書 は「ガレキ問題」と捉え、何ひとつ過去の問題になどなっていない震災がれきについて、再度目を向けることを促す。
『ガレキ』は東北各地の首長や元原発作業員、福島県で震災を経験した広域処理反対派市民など、被災地に暮らす人々を含めた多くのインタビューおよ びルポルタージュで構成されている。原発再稼働問題の陰で、検証や議論が尽くされないままに世間的なトピックとしては収束してしまったように見える、がれ き広域処理の問題を考え直すための記録となっている。
(中略)
本書に収められたインタビューで繰り返し映し出されるのは、そうした否定の声に傷つく人々の姿である。
拒絶され無配慮な言葉を投げられる震災がれきは、被災地の日々の暮らしのすぐ横に存在する。何よりがれきは彼らにとって、自分たちの暮らしの礎と なる我が家だったものなのだ。「それ(がれき)を放射能で汚れたとか言われると、私たちが汚れているみたいな感じがする」という人々の声に、受け手はどれ ほどの想像力を働かせられるだろうか。
時に脊髄反射的ともいえる震災がれきへの拒否反応の根底に、著者は「ケガレ」の意識を読み取る。個人に明確な判断基準があるわけではなく、抽象的 な感覚による不浄の意識が、科学的な根拠よりも先行して震災がれきへのイメージを生み出してしまう。間接的で確度の定かでない大量の情報のみによって作ら れていったケガレのイメージはそのまま肥大し、議論の入り込む余地が限りなく乏しい禁忌の意識を強固にしてゆく。この意識に多くの人たちが縛られているこ とにすら気がついていない。
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確かに、「ケガレ」のイメージが心ない言葉となって福島の被災者へ投げかけられた事には心痛を覚え、あってはならないことだと思う反面、「ガレキ」という放射性物質を拡散する実態を伴う危険とは分けて考えるよう私たちは努力していかなければならないと思います。この問題は、こうしたガレキの放射能汚染を危険とするか否か、あるいは『安全基準値内である』という政府見解を信用するか否かにもかかっているのですが、安全ならば、何故北九州といった遠い地域まで運んだのか、そのパフォーマンスの意味は何か、といったことも考え続けたいと思います。