『浜岡原発停止 脱原発へ気概と構想力を』 via 琉球新報

 地震発生リスクが高い浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)について、菅直人首相は6日、中部電力に対し、全面停止を要請した。原発の安全神話が崩壊した今、遅きに失した感は否めないものの、決断自体は評価したい。
 浜岡原発は東海地震の想定震源域の真上に立地し、1号機が35年前に稼働した古い原発だ。1、2号機は耐震補強に巨額の費用が掛かるとして廃炉が決定し、2009年に運転を終了。3号機は定期検査で停止中だが、4、5号機は稼働している。
 菅首相は停止要請の理由について「30年以内にマグニチュード(M)8・0程度の東海地震が発生する可能性は87%と極めて切迫している」と説明したが、浜岡だけに限定する説得力は乏しい。
 東日本大震災による福島第1原発事故を教訓とするならば、従前の安全審査の下で稼働してきた全国の原発について総点検を実施し、災害リスクが大きい原発の運転を停止することは自明の理だ。
 福井県の西川一誠知事が定期検査中の原発について「現時点では再起動を認められない」との談話を発表したが、政府の原発政策に対する不安や不信はもっともだ。
 浜岡原発の停止期間は防波堤建設が完了するまでの2年程度を想定するが、そもそも「想定外」の地震や津波に備えた万全の対策が可能なのか。政府は国民の本質的な疑問に答える責任がある。
 地震による原発事故と震災が複合する「原発震災」の恐れを1997年から警告してきた石橋克彦神戸大名誉教授(地震学)は「東日本大震災で日本列島全体の力のバランスが変わった。東海・東南海・南海地震の発生が早まる可能性は十分にある」と指摘する。地球のプレート(岩板)が4枚もせめぎ合う日本列島は、首都圏直下型を含め巨大地震や大津波がいつ、どこで発生してもおかしくない。
 原発がクリーンで安全でコストが安いという神話に基づく日本のエネルギー政策は破綻した。日本列島の地質学的特性からも「原発は安全」といった悠長なことは決して言えまい。2030年までに原発を14基以上増やすエネルギー基本計画について、首相は見直しを表明したが、なお原発を基幹エネルギーとする従前の政策を捨て切れないでいる。「脱原発」に政治生命を懸ける気概と構想力があるのか。首相の本気度が問われる。

『浜岡原発停止 脱原発へ気概と構想力を』

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