『CFWを通じた被災地の復興と人々のエンパワメント』 on REAL-JAPAN

1. CFWの必要性

2011年3月11日に東日本の太平洋を襲った大地震と津波は、被災地に悲惨な爪痕を残しました。いくつもの町が、文字通り消滅してしまいました。それは、その場所にあった様々なモノ―建物、設備、機械、道具―を使って、膨大で多様な人々が、それまで毎日毎日営み続けていた社会経済的機能の全てが失われたことを意味します。辛うじて死を免れた方々は、これまで積み重ねてきた努力や大切な他者が消え去った悲痛に耐えながら、生命と生活を維持してゆくためのあらゆる支えが喪失・不足する中で、苦しい日々を送らざるをえなくなっています。

 このような巨大な惨事に遭遇した地域を立て直すために、それ以外の地域からの様々な物的・人的支援が必要であることはいうまでもありません。また、被災者の中でも心身に余力のある方たちは、自分自身と家族、そして地域の再建のために、できる限りのことをしたいと考えているはずです。そのような支援と自助努力は、被災地以外の社会全体にとってもきわめて有益で不可欠なものです。その理由を改めて説明するまでもないかもしれませんが、あえて説明するならば、突然の災厄によってあっという間に極限的な苦境に追い込まれた人々が希望ある生を取り戻すことは、まず人道的観点から見てどうしても必要なことです。それだけでなく、現代の相互に緊密に結ばれた社会経済システムの中で、被災地が本来生み出しうる多大な文化的・経済的・社会的な諸価値を復活させることが、他の地域に対しても実質的な恩恵をもたらすことは疑いありません。

 そうした被災地への支援と被災者の方々の自助努力を確実なものとするための重要な仕組みが、Cash for Work(以下CFWと略記)です。これは、復興のための諸活動に対して一定の報酬を支払うことにより、その活動に従事する人々の生活基盤を維持するとともに、その方々への社会全体からの感謝と敬意を目に見える形で表すことを目的とした仕組みです。CFWは言うまでもなく災害への緊急対応としての仕組みですので、たとえば半年ないし1年といった時限措置であり、復興が進んできて必要がなくなれば終了します。

 特に今回の大地震は、その被災地の地理的範囲が前例のないほど広域であり、

続きは『CFWを通じた被災地の復興と人々のエンパワメント』から。

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